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安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、当時の流行の最先端を行く奇抜な服装や髪型をし、世間の秩序に反して行動する人々は、「かぶき者」と呼ばれた。歌舞伎の歴史は、出雲の阿国の「かぶき踊り」にまでさかのぼることができますが、このよび名は当時を象徴する最先端の「かぶき者」の扮装を舞台上でまねたことによる。ここから、「かぶき」とよばれるようになったのである。
歌舞伎は、この発祥時の精神を受け継ぎ、約400年の歴史の中で、さまざまな時代の困難を乗り越えながら、他の芸能やそのときどきの流行などを貪欲に取り入れ、たくましくまた柔軟に発展してきた。その結果、歌舞伎は、演劇・舞踊・音楽の各要素を備えた「総合芸術」として現在に受け継がれている。
「歌舞伎」という名称の由来は、「傾く」（かたむく）の古語にあたる「傾く」（かぶく）の連用形を名詞化した「かぶき」だといわれている 。この動詞には、並外れている、常軌を逸しているという意がある。戦国時代の終わり頃から江戸時代初頭にかけて、京や江戸の町に派手・奇抜・異形など一風変わった着物の着こなしをする者や通常ではあり得ない行動を取る者たちが現れ始め、その者たちを総称して『傾奇者(かぶきもの)・かぶき者』と呼んだ。
そうした「かぶき者」の斬新な動きや派手な装いを取り入れた独特な「かぶき踊り」が慶長年間（1596年 - 1615年）に京で一世を風靡し、これが今日に連なる伝統芸能「かぶき」の語源となっている。
「かぶき踊り」は主に女性が踊っていた事から、「歌舞する女」の意で「歌舞姫」、「歌舞妃」、「歌舞妓」などの表記が用いられたが 、江戸を通じて主に用いられたのは「歌舞妓」であった5 。現在用いられる「歌舞伎」の表記も江戸時代使われない事はなかったが、一般化したのは近代になってからである。なお江戸時代「歌舞伎」という名称は俗称であり、公的には「狂言」もしくは「狂言芝居」と呼ばれていた 。
歌舞伎の元祖は、「お国」という女性が創始した「かぶき踊」であると言われている。『当代記』という史料の1603年（慶長8年）の項に「この頃、かぶき踊りというものが踊られた 。出雲の巫女を名乗る国という女性が、京に上り変わった風体の男の扮装をして踊った」という意の記述が残っている。この女性は、歌舞伎の歴史を語る上では一般的に「出雲の阿国」と呼ばれてきた。阿国が創始した「かぶき踊り」が一気に人気を博すと、それをまねた遊女や女性芸人の一座が次々と現れた。このような女性たちによって演じられた「かぶき踊り」を「女歌舞伎」といい、京だけではなく江戸やその他の地方でも興行され流行した。
しかし「女歌舞伎」は、風俗を乱すという理由で1629年.源^自·751~文~论`文]网[www.751com.cn（寛永6年）前後から禁令が出されるようになり、次第にその姿を消していった。「女歌舞伎」の禁令により、前髪のある成人前の少年が演じる「若衆歌舞伎」に人気があがる。しかしこれも風俗を乱すため、1652年（承応元年）頃から禁令が出されるようになった。
この禁令以降、前髪をそり落とした野郎頭の成人男性が演じる「野郎歌舞伎」の時代に入っていく。「若衆歌舞伎」の時代にも、女性役を演じる「女方 」は存在したが、技術よりも容色が重視されていた。しかし野郎歌舞伎では、「女方」を専門に演じる俳優が登場し、技術的に女性らしさを表現する方向へと発展していく。また野郎歌舞伎は、当初、歌や踊りによる短い場面で完結した「離れ狂言 」をいくつか続けて上演していたが、次第にストーリー性を持つ複数の場面からなる「続き狂言 」が上演されるようになる。やがて複雑化したストーリーを表現するために、登場人物を類型化して演じるようになり、延宝年間（1673年～1681年）には、役の年齢や性格に基づいた「役柄 」が確立しはじめる。具体的には、若い女性を演じる「若女方」、男性役の「立役」、男性の悪人の「敵役」、中年から老人の女性を演じる「花車方」、滑稽な役を演じる「道化方」などが挙げられ、それぞれの役柄にあった演技術が編み出されていく